交通整理

こんな風に整理されたら
衝突しようがないなぁ

ひそかに
感動していました

　
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～ぬすみ聞きシリーズ～

盗み聞きというよりは
何となく聞こえてきたので
耳がロバになった話です

システムが変わって
何をどうしたらいいのかわからない

これまでと違うやり方なんて
とてもじゃないけど受け入れ難い

何のことかはわからないけれど
ある共通のものに対して
不満を漏らしている人たちがいました

ひとしきりそれを聞いていた
上司っぽい人が

それを咎めるでもなく
同意するわけでもなく

しばらくしてから
口を開きました

　
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今やっている事って大きく分けるといくつある？
その中でも優先順位の高いものはどれ？
これは必要ないなというものはある？

必要であるものをピックアップできたね

じゃあひとつずつ検証していきましょう
それの目的や役割はなに？
そこに何か上手く作用していないことがあるとしたら？

「ふむふむ」
「なるほどね」

そんな相槌を
時折はさみながら

静かに穏やかに
順を追って話を進めて

「今日はここまでにしましょう」

笑顔で締めくくっていました

初めは不満を並べて
そのあとはひたすら聞かれたことに答えていたその方たちは

「じゃあ、次回までにもっと具体的に挙げてみます」
「じゃあ、私は〇〇について調べておくね」

同じように笑顔で締めくくっていました

　
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（あっぱれ！）

私はひとりコーヒーを飲みながら
心の中でそんな風に叫んでいました

こんな風に交通整理されると
事故は起きないだろうなぁ

それはまるで

それまで自由遊泳だったプールに
コースロープを張った瞬間

ゴチャゴチャして「泳ぎにくい！」と言っていた人たちが
それぞれのペースで泳ぎ始めたような感じでした

全員に同じ泳ぎ方やペースを課すのではなく
一定の方向性を示すことで

それぞれがゴールを見据えて
自分なりのペースで泳ぎ出そうとする

そんな瞬間を目の当たりにしたような気がして
ひそかに感動していたのでした